「つくって終わり」にしない ―― 大阪万博再利用のモデル バッグに生まれ変わる。

2026年2月13日

大阪万博が大盛況のうちに幕を閉じ、あれほど賑わっていた街の空気も、少しずつ落ち着きを取り戻してきたように感じます。会期中は、街を歩けば万博の話題を耳にしない日はなく、私の親戚やお知り合いの方も遠方から来られておりました。イベントが終わった今でも公式キャラクターのミャクミャクは、相変わらずの人気で、グッズを身につけている方を見かけることも少なくありません。万博が終わっても、人々の記憶や生活の中にしっかりと根付いているのだと感じます。

しかし、今回の万博で忘れてはならないのが、その根底にあったテーマのひとつである「再利用」や「循環」という考え方です。建築物や展示物を“使い終わったら終わり”にするのではなく、その後の活用まで見据えて設計されていた点は、これからのものづくりにおいて非常に象徴的な取り組みだったと思います。

私たちの工房でも、その理念に関わる形でプロジェクトに参加させていただいています。ルクセンブルクのSEALブランドさまと共同で、ルクセンブルクパビリオンの屋根に使用されていたテント膜を再利用し、バッグなどのアイテムとして生まれ変わらせる取り組みです。

実際に現地で使われていた素材を目の前にすると、そのスケール感や存在感に圧倒されます。風雨に耐え、強い日差しを受けながら多くの来場者を見守ってきた素材には、単なる“布”ではない時間の重みがあります。表面には使用の跡があり、一枚一枚表情が違う。その個性こそが、このプロジェクトの魅力でもあります。

もちろん、実際に製品として生まれ変わるまでには、いくつもの工程を丁寧に重ねる必要があります。現在は解体が終わり、洗浄から裁断へと作業が進んでいる段階です。屋外で使われていた素材のため、まずは徹底した洗浄を行い、状態を確認しながら使える部分を見極めていきます。その後、バッグとしての強度や美しさを保てるように、一枚ずつ配置を考えながら裁断していきます。

この作業は想像以上に手間がかかります。素材の痛み方やクセが均一ではないため、通常の生地のように効率よく裁断することはできません。しかし、その手間こそが、このプロジェクトの価値だと私たちは考えています。量産生産ではありますが再利用であるため、ひとつひとつ異なる表情を持つ製品になるからです。

ありがたいことに、ご予約はすでに1800個を超えるご注文をいただいております。本当にありがとうございます。多くの方が、この取り組みの背景や理念に共感してくださっていることを実感し、作り手として身の引き締まる思いです。

今回のプロジェクトは、単に「再利用素材を使った商品」という枠にとどまらない意味を持っています。万博という大きな出来事の記憶を形として残しながら、未来へとつないでいく役割を担っているのだと感じています。言い換えれば、それは“記念品”ではなく、“記憶を受け継ぐ道具”とも言えるかもしれません。

ものづくりの現場にいると、素材には必ず背景があると感じます。どこで生まれ、どのように使われ、どんな時間を過ごしてきたのか。そのストーリーを次の形へとつなげていくことこそが、本当の意味でのサステナブルなものづくりではないでしょうか。

これから制作は縫製の工程へと進み、少しずつ完成の姿が見えてきます。お届けまで今しばらくお時間をいただきますが、一つひとつ丁寧に仕上げてまいりますので、どうか楽しみにお待ちいただければ幸いです。

万博が終わり街は静かになりましたが、その理念はこうして新しい形となり、今も動き続けています。私たちもまた、この取り組みを通じて、ものづくりの未来について考え続けていきたいと思います。

プレスリリースはこちらから↓

https://weekly-osakanichi2.net/archives/46771

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