「日本製レザー と イタリアンレザーのホント・ウソ?」 - artigiano

「日本製レザー と イタリアンレザーのホント・ウソ?」

2025年1月20日

日本製レザーとイタリアンレザーのエイジングについては、市場ではどちらが『良いの?』と言う
論議がやみません。正直、30年以上この業界に携わって来ていても、一言でこっちと言えない
歯がゆさがあります。

この10年間、月約200~300枚、年間約3000枚以上の革を作って触って来て、色々なタンナーさんへ出向き見て来た事と製品作りに携わってきた経験があります。そんな私が感じて今思ってることを書いていこうかなぁと思います。

結論から言うと、『ユーザーさんが求める事により、それぞれに答えは変わる』という事だと
思うのです。

まずは国内レザーとイタリアンレザーの定義が広すぎるため、どちらにも良い物と悪い物があると言えます。例えば、イタリアのヌメ革にはベジタブルタンニン協会というクオリティを守って行く協会がありますし、国内レザーで有名な栃木レザーですが一社で作っているレザーブランドでもありますので
一定のクオリティが担保されています。よく比較されがちな姫路レザーですが、こちらに関しましては姫路と言う皮革産業の一大産地の姫路にあるタンナーさんが作る革の総称なので、鞣しや仕上げの定義が無いので物により良し悪しは広いと言えると思います。

ベジタブルタンニン協会  公式サイト  (英語・イタリア語になります。)



国内レザーを深く知りたい方はこちらへ    日本革市

https://www.kawa-ichi.jp



ですので今回はヌメ革、タンニン鞣しに絞って定義して話を進めて行きたいと思います。

前にも少し書いたのですが、お使いになる方がどういう事を何を求めているかによって変わってくることからだと思います。発色が良いもの・エイジングが良いもの、手触りが良いもの、軽い物などの求めるものに関して、具体的に言えばエイジングしやすい革は汚れやすかったり使い方にデリケートな一面があったりする相反のメリット・デメリットがあるので、お使いになるすべてのメリットを兼ね備えた革は存在しないと言えるのではないでしょうか。

私自身も使う用途やアイテム、その時の生活習慣により欲しい革は少しづつ変化していっているという事があります。


くれぐれも一概には言えませんが、まずは比較してみたいと思います!

日本製レザーの特徴

  • 品質管理: 日本のレザーは、製造過程は厳密な品質管理が行われており均一性が高いです。
  • 技術: 日本製レザーは染色や仕上げ剤なども、ドイツやイタリアから輸入していて、日本人特有の繊細さと技術が高く、不安定な原料ながら比較的均一に仕上げられているのが特徴だと思います。栃木レザー以外は、ドラム鞣しが多く繊維が締まっていない物もあるので注意が必要。
  • 革の特徴:日本の風土や商流に合わせて、クロムからタンニン鞣しの革まで沢山のバリエーションがあります。日本の環境に適応した製法が多いです。オールマイティなタイプに対応。

イタリアンレザーの特徴

  • 伝統技術: イタリアンレザーは、長い歴史と伝統に基づいた植物タンニンなめしが有名。トスカーナ地方などの革職人が手作業で仕上げることが多いです。ピット層でなめされている物が多く、
    繊維層が崩れずしっかりとした印象がある。その反面、最近ではクロムレザーも盛んにおこなわれ品質の高さで選ばれることも多いです。イタリアでは、ベジタブルタンニン協会という組織があり
    一定のクオリティやブランドを守る事に力を入れています。
  • エイジングの豊かさ: 特にタンニン鞣しのイタリアンレザーは、染料仕上げの物が多く日本で
  • 流通していてエイジングによる色やツヤの変化が大きく深みが増すのが特徴です。
  • 特にピット層でなめされたタンニンレザーは繊維が良く締まっていて、ヘタリが少ないのも
    特徴ではないでしょうか?(有名なブランドレザーは比較的この製法で作られています。)
  • 革の香り: 天然のなめし工程や使うオイルなどに特有の香りがあり、これもイタリアンレザーの魅力のひとつです。

エイジングの違い(同じような鞣し・仕上げ方法の場合)

特徴日本製レザーイタリアンレザー
経年変化ゆっくりめのエイジングオイルを含んだものは早い
使用感物により、少しヘタるのが早い一面もある型崩れしにくい
初期の見た目オーソドックスな色が多い斬新な発色のセンスがある

なぜ?このような違いになるか

表に上げたような違いがなぜ出るのか?ですが、それぞれの国の商流やユーザーの求めるものが
違うのが一番の違いのような気がしています!日本の側から書いていきます。
○商流の違いとしては、タンナーからユーザーまでの距離が遠くてニーズをつかみにくい
○中間業者から上がって来た意見やニーズを受けて製造するため、オールマイティではあるが突き抜けた革が作りにくい。得意分野が磨きにくい。
○薬品や設備が海外製の物が多く、情報が少し遅れたり手に入りにくい物がある

一番は売り場や消費者さんの皮革に関しての知識や捉え方一番の違いの様に感じています。
皮革という素材との歴史が深い、インポートレザーの中には、特にオイルをたっぷり含んだ物では、
スピュー(油浮き)などがみられることがあったり、色落ちや移染なども見られる物もあります。

こう言うことがなぜ起きるかと言うと、風合いを残したりより手触りを良くしようと思うと
そういう問題が相反して出来来てしまうためなのですが、日本国内ではクレームの対象と
なってしまう違いがあると感じます。

そういう一面もあるので、日本の革の場合購入したあと手を加えながら、
育てていく必要があるのかもしれません。


どちらを選ぶべきか?

  • 日本製レザーが向いている人
    • 安定した品質でオーソドックスな見た目を求める。
    • 手を加えながらエイジングを楽しみたい。
    • 日本特有の湿気などの環境に適応したレザーを重視。
  • イタリアンレザーが向いている人
    • 早めのエイジングを楽しみたい。
    • 革特有の深みのある独特な風合いや香りを求める。
    • より個性的で伝統的な素材に価値を感じる。

左は私の私物ですが、ほとんどオイルなどを塗りこむことが無く使っていますが、こんな感じのエイジングを辿ります。使用しているレザーは、ミネルバボックス ブッテーロ 国産プルアップレザー
です。 何気に気に入っているのは、国産プルアップレザーだったりします。

少し爪傷がついてきて目立つようになってきているので、そのあたりはメンテナンスで目立たなく出来るので、また次の機会に書いてみたいと思います。


私のエイジング イチオシアイテム

私のおすすめする、エイジング重視のプルアップレザーアイテムはこちらです。



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