巾着バッグ。シンプルな形にある工夫とものづくり。

2025年12月3日

前回もブログで取り上げた巾着バッグですが、昨年あたりから人気アイテムの一つになっています。
今回は巾着バッグができあがった経緯について話してみたいと思います。

数年前から、私たちは「性別にとらわれず、誰もが日常使いが出来て使いやすくお洒落なバッグ」をコンセプトにして、本革の手提げ巾着バッグ「ma-02ss」を作り始めました。

当時少しずつキャッシュレス化が世間をにぎわす流れがあり、ミニ財布とスマホが入ればいいコンパクトバッグという考えで作り始めました!

見た目のシルエットと革の質感のイメージが自分の中でできていたので、柔らかさとしなやかさのバランスにこだわった革を使うつもりで形にしていきました。

一見出来上がったものを見るとシンプルなので、何気ないように思いますが、そこに至るまでの試行錯誤をブログに綴ってみたいと思います。

巾着バッグができあがるまで

革の開発

気軽に使えて誰もが持てる贅沢感がある巾着バッグを作りたい。
そう思ったのは、数年前のこと。

当時は大きなバッグから必要最低限のものだけを収められる『ミニマリスト』という言葉が流行り出した頃でもあり、小ぶりなバッグへと時代が移り変わりつつあると感じていました。

この10年ぐらいartigianoでは姫路やたつののタンナーさんへ直接伺い、共同で革を作っています。革を作る時は「こんな革がいいな。」と発想する場合と、アイテムから思い浮かんだ革を作り出す、2パターンがあります。そんな中、当時できあがってきた革を見ると、「この革は、きっと巾着バッグにぴったりだ」とインスピレーションが湧いてきました。牛革の厚口タイプでクロム鞣しからタンニンを加えて、張りと柔らかさを両立しています。また仕上げ方法は、ベースに顔料を少し多めに使い物性的に強くして、最終的に表情を出すためにアニリンで仕上げています。染料仕上げみたいに色の変化はありませんが、グレージュのような中間色は、そのままのカラーを長くお楽しみいただけます。使い続けることで自然なツヤも生まれてきます。



デザイン

肉厚でコシもありしなやかさもある革そのままを使用し、あえて内装には生地をはり合わせず、革一枚でだけで仕上げています。

通常の革に比べると、なるべく内側の毛羽立ちも出ないように配慮しています。

機能面は「お気に入りの物を最小限」に持ち運べるようなイメージで、ギュッと絞った時は「小ぶりで何かのキャラクターを想像させるかわいさ」をサイズ感と革の柔らかさで表現しています。

普段持ち歩くこまごましたものを入れるに、ほどよくて、重すぎずデカすぎず。

もちろんお客様によって持ち物もバラバラだし、もう少し大きかったら…と思われることもあるとよぎりましたが、もっと大きくすれば、かわいさも半減するし重さもでる。

それなら他のバッグで提案(現在は3タイプ)したいこともあったので、最終的にこのサイズ感に決定しました。

底面

本当に柔らかい革なので、同じ革を底面にも使うと荷物を入れたときに、ボコッと型崩れするので固めの底板を入れて対応しました。

こうすることで、安定に自立もできる。柔らかい革だけど机の上に置いたときも美しいシルエットを保てるようにしています。


出来が上がり

単純そうで、工夫の組み合わせで出来上がった巾着バッグは口を絞った時の丸みや、クシュっとなったヒダの感じはとても満足な出来栄えになってくれました。

販売開始直後は正直反応は良くありませんでしたが、昨年あたりから注文が増えてきて、お問い合わせの中からは「ショルダーにしたいので、長めの紐がほしい」というお声をいただきました。

別注のロングショルダーも販売していたこともあります。

これがのちの商品づくりにつながり、新たな巾着バッグの製作のきっかけにもなる。

コンパクト巾着バッグ(手提げ)ma-02ss


ミニ巾着ショルダーバッグma-03ss

別注ショルダーのお客様には「ma-02ssは手提げ用として作っていたので底面が円型で長い紐を付けたとしても斜め掛けをしたときにかさばると思いますがよろしいでしょうか?」とその旨をお伝えし、「それでもかまいません。」という返事だったのでロングショルダーを別注販売することにしました。

だけど、これはお客様からの要望であり、紐だけ長くして販売するのは自分の中では納得するものではなかったので新商品としては気が引けていました。

数年間こういった対応で販売してきたが、毎年お問い合わせがくることが増えてきたので、ショルダータイプのミニショルダー巾着バッグ「ma-03ss」の開発に進むことになりました。ma-02ssの可愛いイメージを残しつつ、斜め掛けにしたときに体にフィットするように底面は楕円形に。

出来栄えもさらにかわいく仕上がった。

このミニショルダー巾着バッグは公式サイトや楽天市場ではもちろん、和泉市ふるさと納税返礼品で爆発的な人気を生んだ。artigiano人気ランキングでは、つねに上位に来るアイテムに育ってくれました。

たくさんの人に使ってもらって感想もたくさん頂くようになり、そこには次のアイテムを考えるヒントがあるんだなぁと感じる事も多く、良く目を通すようにしています。

ミニ巾着ショルダーバッグ ma-03ss


コンパクトなのに長財布入る巾着ショルダーバッグma-04ss

そんなma-03ssをご愛用いただく方からの次なるご要望は「長財布が入る巾着バッグがほしい。」というものでした。

正直、長財布ってだいたい長さ20センチあるので、財布のサイズに合わせると野暮ったい印象になってしまうのでは…という懸念があり開発を戸惑っていました。

ただものづくりをしている我々はどこかしらその要望に答えたいというのはずっと頭の片隅にあり、街を歩いてサイズ感やコーディネートをリサーチしては、寝る前に構想を練っていました。

世の中の流れ的には財布の需要が長財布からミニ財布に大きくシフトしていくのに作っても売れるのかな?とかと思いながらも、自社の財布の販売データ(2024年-2025年)を見ると、当店では未だに長財布の人気が根強いことが分かり、「やっぱり、当店のお客様には長財布対応バッグが必要だ」と確信し、急ピッチで型紙を起こすことにしました。

そこで出来上がったのが長財布がジャストサイズで収納できるショルダー巾着バッグ「ma-04ss」ができあがったのです。

底面は16センチあるもののショルダーベルトを太くすることで見た目のゴツゴツ感も気にならないデザインとなりました。大きいけれど、上品ですっきりとしたバッグに仕上がりました。

巾着ショルダーバッグ ma-04ss


まとめ

ネットショップでの販売が中心ですが、お客様とのやり取りやレビュー投稿から生まれるコミュニケーションは、私たちのものづくりに欠かせない大切な要素です。その想いをかたちにできるのは、自社にファクトリーを構えているからこそ。

新しいアイテム作りも大切ですが、革のアイテムなので出来るだけ長く使って欲しいと思い弊社では試作やお修理も対応できる環境が整っています。小さな改良から新しい挑戦まで、お客様の声をダイレクトに反映できるのが、私たちのものづくりの大きな強みです。


そしてもしよろしければ、届いたアイテムの感想や使い心地を、インスタグラムでもぜひ教えてください。#bag_artigianoをつけて投稿していただけたら、とても嬉しいです。

https://www.instagram.com/bag_artigiano

ゆく先々で、この巾着バッグも連れて行って頂き隅っこに映るように撮って頂ければきっとオシャレな写真になると思います。

ぜひ、楽しいお出かけに巾着バッグを持っていろんなところを旅してみてください。

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商品紹介