革製品づくりに欠かせない「漉き」。見えない工程が、見える表情をつくる

2026年2月25日

本日のブログは、スタッフの上田が書いていこうと思います。
この会社に入って5年ほどたちますが、経験のない所から入って
EC担当なので、ものづくりには携わっていませんが、毎日見ていると
気づく事や疑問があることがあります。

ものづくりのプロではない目線で、興味のあることを書いていけたらなぁと思っています。
それでは、書いていきたいと思います。

革製品を作る中で欠かせない工程のひとつに「漉き(すき)」があります。
この工程は、表には出てきませんが商品を作るうえで、非常に重要な工程になっています。

漉きとは、革の厚みを均一にしたり、部分的に薄く削ったりする加工のことで、普段あまり耳にしない言葉かもしれませんが、この作業こそが、完成したバッグや財布の表情を大きく左右する重要な役割があります。

今回は、漉きという工程がどのように商品の雰囲気や使い心地に影響してくるのか、現場のお話ししたいと思います。




1. 漉きとは?革の厚みを整えて性格をつくる工程

漉きとは、具体的には財布やバッグの縫い合わせ部分に用いられる処理の方法で、革の端だけ厚みを均一に整える作業のことをいいます。
単に「薄くする」だけではなく、革のしなやかさ・ハリ・軽さなど、製品としての性格を決める基礎づくりのような役割を持っています。

元々の革は3~5mmと厚みがあり、革をそのまま折り曲げて縫おうとすると、どうしてもゴワつきが出てしまい、曲げた部分も角が立ちやすくなります。一方で同じ革でも0.5mmまで丁寧に漉きを入れて折り返すと、段差は滑らかになり、見た目も手触りも驚くほど印象がガラッと変わるのです。




2. バッグと財布では「漉きの厚み」を変えている理由

革の漉きは、アイテムの種類によっても大きく変わります。
特にバッグと財布では、求められる強度・柔らかさ・軽さが違うため、
部位ごとに細かく厚みを変える必要があります。

2-1. バッグの場合:軽さと耐久性のバランスが命

バッグは、日用品や小物を入れて持ち歩くため、軽くしつつも型崩れしにくい強さが求められます。

そのため、

  • 底面や持ち手:厚みを残して耐久性を持たせる
  • 本体の側面:軽さのためにやや薄めに
  • フラップやポケット部分:開閉しやすいよう適度に薄く

といったように、場所ごとに最適な厚みに調整しています。

ほんの数ミリの差でも、「カバンの軽さ」や「持ったときの柔らかさ」に大きく影響します。



2-2. 財布の場合:スマートさと耐久性を両立するために細やかな漉きが必要

財布は、重なるパーツが多いため、厚みを調整しないと“分厚い財布”になってしまいます。

そのため、

  • カード段:重なる部分を段漉きで薄く
  • 小銭入れ:強度を確保しつつ厚みを残す
  • 外側の革:型崩れしにくい絶妙な厚さに調整
  • コバの仕上げ部分:均一になるよう精密に漉く

こうした細やかな漉きによって、見た目はスマート、使うと丈夫という理想的な財布ができます。

漉きは革の質感づくりにも深く関わります。
バッグなら、“くったり”と柔らかく優しい印象に。
財布なら、ほどよい“パリッと感”を残して上質さを演出できます。
革の種類ではなく、漉き方ひとつで雰囲気が変わるのも革製品の面白さです。


3. 立体縫製の仕上がりを左右する

漉きは表から見えなくても、完成後の立体感にしっかり現れます。

  • カーブを美しく仕上げる
  • 袋縫いにごろつきが出ない
  • 外周のステッチが波打たず、きれいに収まる

これらはすべて、丁寧に下準備された漉きのおかげ。
表に出ない技術ほど、仕上がりの差がはっきり分かれます。


4. 見た目以上に軽さを生むのも漉きの技術

革製品の軽さは素材だけでなく、「どこをどれだけ漉くか」で大きく変わります。

強度が必要な部分はしっかり厚みを残し、
負担の少ない部分は薄く調整することで、
軽さと丈夫さを両立できます。

「思ったより軽い!」そんな声をいただく商品には、必ず職人の漉きの工夫があります。



5. 見えないけれど、確かに見える技術

漉きという工程は、完成品を見ただけでは分かりにくいもの。

革包丁を使い手作業でやる場合もありますが、弊社では専用の機械を使います。漉き機は、縫製用ミシンと同じくらい重要な存在です。


革の漉きは本当に繊細な工程で、わずか0.1mm違うだけで、表情が大きく変わってしまいます。
そのため、正確な寸法に近づけるのは、想像以上に難しい作業です。

革は一枚一枚、繊維の詰まり方や密度が違い、漉き機の刃の状態や角度がわずかにずれるだけでも、革の裏側(床面)がざらついたり、ムラが出ることがあります。

こうした微妙な変化を見極めながら、革の状態を“指先と音”で感じ取り、
その都度、刃の角度や送りの力加減を細かく調整できるのが、熟練した革職人さんの技術です。



6. まとめ

工房にはたくさんの機械があり、ただ単に革を切って、ミシンを走らせるだけでなく、工程ごとに役割を持った機械と職人の手が互いに支えあいながら進んでいて、その現場をそばで見ていると、「奥が深いなぁ。」と感じました。

今回深掘りした漉きは、革の厚みを調整するだけの作業に見えて、実は製品の手触りや見た目、縫いやすさ、強度にまで関わるとても繊細な工程でした。ほんの0.1mmの差が完成後の表情すら変えてしまう。そう知ったとき、革づくりの難しさと面白さに一層惹き込まれました。

一つの革製品には、数えきれない工程と道具、そして職人たちの知識と感覚があります。
その中の一部を知るだけでも、ものの見え方は大きく変わり、手にしたときの温度や重みすら違って感じられるようになります。

これからも革づくりの世界を自分のペースで学び、少しずつ言葉にして記録していこうと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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