「一生モノ」の皮革アイテムは本当か?と皮革製品にまつわるエピソード - artigiano

「一生モノ」の皮革アイテムは本当か?と皮革製品にまつわるエピソード

2025年2月25日

「この革財布、一生モノですよ」
「本革のバッグだから、ずっと使えます」

こんなセリフ、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか? 革製品は高価なものが多く、「一生モノ」として語られることがよくあります。

僕たちも、日ごろ皮革で作ったバッグやお財布などの小物を販売していて、よくそんな声を
頂くんです。その時に一瞬「ドキッと」したりします。

でも、本当に一生使えるのでしょうか? 実はこれは半分ホントで、半分ウソ。本当の所は使い方や素材に使われる革の質・鞄の作り方などで寿命が大きく変わってしまうんです。

なんども言いますが皮革製品には、素材の違いや作り方または使い方で大きく変わってしまうので一概に「一生もの」と言えない部分があるんです。

今回は、皮革製品を使って長く使いたい方に向けて、皮革アイテムの「一生モノ」という言葉について掘り下げていきたいと思います!


革製品が「一生モノ」になる条件

① 質の良い革や、ちゃんと作られているアイテムを選ぶこと

安価な合皮や、質の低い本革は劣化が早い場合が多いです。また長く使う事が前提なら
販売実績のあるアイテムのレビューや使用感をまず調べてみましょう。

作り方において
例えば作り方で言うとartigianoの場合は、30年以上鞄などを作ってきています。
その中で、どうしても避けきれないのが経年劣化からくる修理なんです。
経験として沢山の年月を経て使い続けもらえば、もちろん修理や補修も多くなります。
僕たちはその経験の中で壊れやすい部分などもわかってくるので、その部分をどうしたら
壊れにくいかなどを考えながら補強して作ったりしています。
なので沢山の経験を持つ人が作っている物が好ましいと言えると思います。

壊れやすい部分や消耗品の交換はスムーズに行えるか
例えば消耗品と言われる部分、カバンや財布などの中でも金具、ホック類は消耗品と言えると思います、特に財布などのホックは一日に何度も開け閉めされるので、結構過酷な条件で使用されています。
他にもバネなどが部品に使われている、ナスカンなども消耗品と言えると思いますので、壊れた場合に交換してくれるブランドか?を前提に選ぶと良いと思います。

バッグ本体を見てみると、デザイン的なものもあるので一概には言えないのですが
ハンドルやショルダーベルトなどは荷物を入れた時に負荷が掛かりやすく
壊れやすい部分でもありますので、縫製とカシメなどで2重に強度が補完されている物が
強度もあり良いかと思います。

一概に言えない部分としてデザイン的に、縫製とカシメなどで2つの補強は難しい場合もあるのですが、カシメだけと言うのは僕自身は今までの経験から、お薦めできない物であると思います。

一見、ホームページなどを見ていると、自分たちで作っているように見えていますが
安ければ良いと作られている物もあったりします。
外部で作る事が悪いとは一概に言えませんがレビューなどで
修理についても見てみると良いかもしれません。ちゃんと作り手と連携取れていれば
問題ないと思います。

〇革によりメンテナンス方法が違う

良く頂くご質問の中で、『オイルを塗ればよいですか?』と頂く事が
多いです。革には色々な種類があるので、革に合ったメンテナンス方法を選ぶと良いと思います。
基本的に、風合いの良いのもやエイジングの早い革ほど使い始めはデリケートに取り扱うと
考えていた方が良いかと思います。 風合いと取り扱いは、反比例すると考えていた方が
良いかと思います。(特に薄目の色の場合は注意が必要です。)

メンテナンス方法や素材について分からなければ、購入先に聞いてみてください。

革は適切な手入れをすれば、長く美しさを保てます。使い方を誤ると
どんなに良い革でも汚れたりして劣化が進んでいきます。


〇 使い方を間違えないこと

「一生モノ」にするためには、使い方がとても重要。革は生きている素材なので、乱暴に扱えば寿命は一気に縮まります。

  • 水や湿気に注意 → カビやシミの原因に
  • 長時間の直射日光を避ける → 変色や硬化の原因に
  • 容量以上に沢山の物を入れない → 型崩れや破れの原因に

〇用途や使い勝手に振りすぎると長持ちしない事も。。。
最近は、用途により軽いバッグや小さい財布などが良く売られたりしていますが
例えば軽さなんかは革を作る時に重くなるオイルなどを少なくしたりすれば軽くなりますし
厚みのあるものを薄くすれば軽くなると思いますが。。。
「ちょっと待った!」って感じです。。。その厚みで、ホントに強度大丈夫っていう
物も見受けられるので、これもレビューなんかをよく見て欲しいと思います。


「一生モノ」はウソ?それともホント?

「一生モノにできるかどうかは、使い方と選び方」です。

  • 適切に使い、メンテナンスをすれば、一生愛用できる革製品になる
  • 雑に扱えば、数年でダメになることもある

実際に、ヴィンテージのレザーバッグや財布が何十年も愛され続けている例はたくさんあります。
某有名ブランドなどのイベントでは、100年物などを展示しているのも
見たことがあります。

逆に、どんなに高級な革製品でも雑に扱えば傷んでしまいます。
凄く取り扱いがデリケートな感じで書きましたが、僕自身はエイジングする革が好きで
使っていますが、正直メンテナンスらしいメンテナンスは過度にはしていません。

僕が普段使っている革製品

汚れやシミになる事は出来るだけ避ける、汚れた場合はすぐにふき取る
財布ならお尻のポケットに入れない、いくつかのバッグや財布を持って
ローテーションしながら使うなどを心がけています。

高いバッグや財布を持つもの大変な事なので、革に限らず色々な素材のアイテムを
ローテーションするのが一番良い方法なんではないでしょうか。

エイジングしてきた一番お気に入りの財布

まとめ:愛情を持って育てることが大切

「一生モノ」という言葉に惑わされるのではなく、長く使えるかどうかは自分の扱い方次第

愛情を持って大事に手入れをすれば、革製品はあなたと一緒に年を重ね、味わい深い相棒になってくれます。あなたの大切な革アイテム、ぜひ「一生モノ」に育ててみてほしいと思います。


最後に長くなってきて読むのも大変ですが、お時間がある時にでも読んでみてください。
僕がなぜ革製品をおすすめするかのエピソードを一つ紹介したいと思います。
カバンではなく靴の話ですが。。。

親子三代で受け継ぐ革靴 ~使い方で長く使っていける~

少し前、息子が成人式を迎えるにあたり、僕は「革靴」を送る事にした。 本人が好きな事もあるんですが永く履続けられると言うのと、靴と時計は男の人がこだわるアイテムで、人を見る時に靴がきちんと手入れされているかを見ると言う風に言われていたこともあります。もちろんそれだけでは、判断できませんが。。。

また数年前に僕の親父が亡くなった時、形見として30年前のローファーを息子に
渡しました。「この靴、お前のおじいさんが履いていたもんやで。」と 

そう言って息子に渡した、黒のローファー。細かなシワこそあるが、しっかりと磨き込まれており、時を重ねてきてなんとも言えない光沢があった。

おじいさんはカバン職人であり、この靴を大事に履いていた。次にそれを受け継いだのが孫。成人を迎える息子へ新しい革のブーツとおじいさんのローファーを渡すことにした。

TPOを学ぶ、大人としての第一歩

古い話となりますが「靴は人の品格を表す」と常々言っていた。特に冠婚葬祭やフォーマルな場面では、どんな靴を履くかでその人の印象が決まったり、成人式のような人生の節目では、革靴がふさわしいのではないかと思います。今では、そんな話は古いかもしれませんが、やっぱり自分自身も普段と違う感じで引き締まる感じがします。

また、革靴は手入れ次第で何十年と履き続けられる。そして僕が20歳の頃に履いていたローファーも息子に渡っていて、僕とおじいさんがソールやステッチなどを修理しながら使い続けてきたものなんです。色が剥げたところにクリームを塗り、ブラシで磨く——そうやって一足の靴を大切にすることは、物を大事にする心、ひいては人生を丁寧に生きていくことや、好きな物や大事な物に囲まれて生活していく事ではないかと思ったりしています。 

ただの革靴という物ではなく、親子三代が履き続けた靴。それぞれの想いは違うかもしれませんが、そういうアイテムが自分のそばに一つ、あるのもいい事ではないかと思います。そして僕たちが作る鞄がそのように生活に寄り添い受け継がれていくものになれば嬉しなぁと思いながら毎日の仕事としています。

これが僕が革製品を進める大きな一つの理由です。

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