30年以上、鞄を作り続けて来た職人が伝えたい。 「革製品を一生モノにするためのコツ」 - artigiano

30年以上、鞄を作り続けて来た職人が伝えたい。    「革製品を一生モノにするためのコツ」

2025年6月30日

こんにちは。以前、書かせてもらった
「一生モノ」の皮革アイテムは本当か?と皮革製品にまつわるエピソード

が皆様によく読んでいただいているようなので、鞄作りを30年以上してきた私が
普段どういう風に、使っているかを少し書いてみたいと思います。

まずは、一般的なメンテナンス方法から書いてみますね。
この辺りは、良くどこのブログにも書かれているので読み飛ばしてくれても
良いかと思います。

1. 定期的なお手入れ  

お手入れに関しましては、所有してお手入れまで楽しみたいと言う方も
いらっしゃると思うので、そこは個人差があるので、
ここでは、私のようにあまりメンテナンスしたくないと言う方に向けて
書いてみたいと思います。


ヌメ革などでエイジングを早めたいとか、こういう方向に色の変化を楽しみたい
と言う方には、まめにお手入れしてエイジングさせることが出来るので
お手入れ動画などを参考にして頂ければと思います。


ここで私告白なんですが。。。。。
正直、私自身はお手入れなどで、オイルを塗りこんだりは、ほとんどしていません。
オイルなどを使ったメンテナンスですが、カサツキそうかな?
そろそろ補油が必要かなと思った時にしています。財布などに関しては
毎日触っているので、ほとんど塗る事もないのかなぁと思っています。

一番大事な事は、汚れないようにする事と、汚れにくくする事かなと思います。

  • ブラッシング:ホコリや汚れを柔らかいブラシで落とす。
  • 乾拭き:布で優しく拭き取る。
  • 防水スプレー:革用の防水スプレーを使用して、シミなどを防ぐ
           素上げの革などはシミになりやすいので、スプレーするときは
           目立たない所でお願いします。

2. 水分と湿気に注意

濡れたあとや長期保管の時には注意が必要です。

  • 濡れた場合はすぐに乾いた布で拭き、風通しの良い場所で陰干し
    特に雨に濡れた場合などは、水分を取って早く乾かすようにする。
    ドライヤーなどは使わないで、風通しの良い日陰の場所で乾燥させてください。
  • 湿気が多い場所での保管はカビの原因になるため避ける。長く保管する場合は
    気を付けた方が良いです。

3. 日光と高温を避ける

  • 直射日光に長時間当てると色あせや硬化の原因に。
    一度、硬化してしまうと直す方法が無いので要注意です。
  • 車内や暖房の近くなど、高温の場所には置かない。

4. 使わないときの保管方法

  • 型崩れを防ぐため、詰め物(新聞紙や布)を入れる
  • 通気性のある布袋や箱で保管(ビニール袋はNG)。
    押し入れやクローゼットも湿気が多くないか注意してください。

とここまでが、ごく一般的なメンテナンス方法となります。



それでは、色々ある革製品でもアイテムごとに、
長持ちしやすい物としにくい物があると思うので、自分のアイテム紹介と
そのあたりを書いてみます。


レザージャケット

〇一生モノにしやすいアイテムではないかと

レザージャケット自体、着る時の季節も限定されていて、毎日着る事がないので他のアイテムに比べて使用頻度も低く一生ものになる可能性が大きいですね。他のジャケットなどの着回しが出来て春秋冬に使用、オフシーズンも長いので長持ちするんではないかとおもいます。 注意点としては、保存期間が長い事があるので、保存時の湿気対策などの注意が必要かと思います。あとは長期に渡るので、体形の変化にも気を付けたい所ですね。 


革靴

〇上手く付き合えば長持ち可能アイテム

革靴は地面に接することから摩耗・汚れ・雨などにより、レザーアイテムの中でも
ハードな使用シーンも多いです。仕事などでも履く場合は毎日使用するので
ある一定、消耗品と考えるべきアイテムかもしれません。
ただし、仕事では履かずに、正装時やおしゃれしたいときに履く場合は、永く使える
アイテムになりうるかもですね。この場合も長期保存には保管方法に注意が必要なのと
使用による劣化も激しいので、防水スプレーやつま先などの補色が必要になるかと
思います。自分でマメにメンテナンスをしながら適度にプロに手入れしてもらうのがベスト。


バッグ

〇工夫次第で長く使える

バッグは比較的強度があるのですが生活の中で使用頻度が高くなりがちなので、複数のバッグをローテーションして使えば劣化を抑えられます。
布のバッグやナイロンバッグなどいくつかのバッグを生活シーンにより使い分けすると長く使えると思います。特にバッグで良くダメージを受ける場所は「バッグの角」や「ハンドル」などの接触が多く起こる箇所で起こりやすいので注意が必要です。ビジネスバッグなども、PCなどを入れて自転車のかご
などに擦れると意外と痛むスピードは速いです。PCなどは柔らかめのソフトケースに入れて、バッグに
入れるなどの工夫が必要です。

バッグの内装には、ゴミなどが溜まりやすく手入れが行き届いていないことが多いので、定期的な整理を心がけると良いかもしれません。

ビジネスバッグなど毎日使うアイテムでは、他のアイテムよりも使い方に少し気を付けて使っていく事が良いでしょう。

最近では、レザーバッグなども機能性なども注目されるようになってきています。
その中でも軽さみたいな物を前面に押し出したバッグなども良く見受けられますが
軽くするために革を薄くする必要があるので、薄い革を使った物をよく見ます。
当然の事ですが、革を薄くすると耐久性は格段に落ちて行きますので、そのあたりも
加味しながらアイテムを選ぶと良いと思います。  

artigianoでは、厚みを抑えず革を作るところから軽いオイルを使ったりしながら企画したもの
もありますので、一度ぜひ触って頂けると嬉しいです。



財布

〇ある程度、消耗品と割り切るべきアイテムかも

財布は毎日使うアイテムなので、やはり痛むスピードも速いですね。特にズボンのポケットに入れる習慣のある男性にとっては常に圧力や摩擦がかかる場所にあります。さらに常に何かに触れるため、
擦り切れたり、傷がつきやすかったりしますね。

一生使いたい気持ちは分かりますが、定期的な買い替えを前提に、その時の気分やスタイルに合わせて選ぶのが現実的かもしれません。  artigianoでは、お直しも行っておりますが、長く使っている人ですと10年ほど使っておられる場合が見受けられます。

財布を入れ替えて使うのは手間ですが、私の場合、職業的にも壊れる前に変えたりするので
3つぐらいを使いまわししています、こちらのアイテムもいくつかでローテーションすることで
比較的長く使って頂けると思います。

革は「エイジングの素材」と言われていますので、丁寧に使うほど風合いが増します。
大事に使うと、痛みも少ないので永く使っていけるものだと思いますので、ぜひ革製品を一つでも
多く身に着けてお貰えると嬉しいです。

artigianoの革製品(バッグ、財布など)についてのご相談もあれば、お気軽にどうぞ
イベントにも積極的に出かけますので、その際にも相談してくださいね!

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